香箱ガニが目的! 期間限定の金沢グルメ。

Gourmet 2024.12.02

金沢といえば、まず思い浮かぶのは豊かな食文化。ひとつには海も山も近いため新鮮な食材が手に入ること。そして個人経営の店が多く、海外で修業し地元で起業する若手の活躍や、この地に惚れ込み東京や大阪から移住したシェフなどが切磋琢磨し、料理人の創造力が存分に発揮されていることが金沢の食に注目が集まる理由。そこで金沢の食の最新アドレスから、この時期だけの人気食材、香箱ガニをいただける店をお届け!

金沢の香箱ガニとは?

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金沢おでんの人気具材"かに面"。提供方法の美しさも金沢ならでは。©︎Kanazawa City

冬の風物詩であるズワイガニの雌、香箱ガニから。ズワイガニは深海に生息しており、通常漁場は遠海。けれど石川県沿岸はすぐに深海となるズワイガニの生息に適した漁場が点在する。石川県では雌を香箱ガニ、雄は加能ガニと呼び、自然保護のため漁期限定で提供している。香箱ガニは毎年11月6日から12月末、加能ガニは翌年3月20日まで。特に金沢おでんの具材"かに面"で知られる香箱ガニは、手のひらサイズで脚の身は少ないものの外子、内子と合わせた濃厚な味わいとプチプチした食感が魅力。今回は、シェフの感性でさらにアレンジされた、魅惑の香箱ガニ料理をピックアップ。

北陸・金沢の新鮮魚介を正統派フレンチの手法で。

ニコン|NICON

老舗料理店も多い大工町に、2023年2月オープンした鮮魚フレンチ。金沢市郊外で日本料理店を営む家に育った前田涼太郎シェフは、弱冠32歳ながら西麻布のクラシックフレンチの名店、ル・ブルギニオンなどで10年修業。"天然の生簀"といわれる、隣接する富山・氷見の目利きから独自のルートで新鮮な鮮魚を仕入れている。当然、主役は北陸ならではの魚介。手法は正統ながら軽やかなソースで仕上げ、食べ疲れしないことを意識。蟹づくしのディナーコースの一品として提供されるのが「金沢香箱のショーフロア」。エレガントな香箱ガニという、新しい食体験を。

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フランス料理の古典手法、ショーフロアは、加熱した食材を冷ましてソースで包み込むように仕上げた冷菜。「金沢香箱のショーフロア」は、香箱ガニの身と外子、内子をサラダ菜で巻き、エストラゴン入りの生クリームソースをまとわせ、カリフラワーの泡を添えて。季節限定の香箱ガニ込みのおまかせコース(¥14,500)と金沢蟹ディナーコース(¥33,000)で提供。
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富山・新湊産の貴重な手むき白エビ。「白エビ×蕪×春菊」は特大サイズの白エビの味わいを生かすべく、レモンドレッシングで和え、蕪のサラダと。フレッシュな春菊のほろ苦味とともに食感と香りを堪能できる。¥14,500のコースから。
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ル・ブルギニオン仕込みのスターターは「人参のムース、コンソメジュレとウニのせ」。なめらかなムースとウニが口のなかでとろけ、次なる一品への期待が高まる。¥12,000のコースから。
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ワインもクラシック系とニューワールドでラインナップ。フランスの注目メゾン、アンドレ&クルエのシャンパーニュ(中央)のほか、シェフお気に入りの一本、能登・門前前のハイディ ワイナリーの「Clara」(左)。グラス¥1,400~
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以前割烹だった空間を生かした金沢らしい落ち着いたカウンター。王道フレンチの良さを知る大人の常連も多い。

ニコン|NICON
石川県金沢市大工町12
090-8093-1156
営)18:00~21:00 ※18:00ごろ〜一斉スタート
不定休 要予約
https://nicon-kanazawa.com

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王道に独創性を盛り込んだ金沢でいただく日本料理。

緑酒伝助|Ryokushu Densuke

海上自衛隊イージス艦での料理経験から、この道に進んだ珍しい経歴の料理人、濱崎興樹。金沢の割烹、厨しんさくなどで修業後、独立。市内別場所から店名も変え、2024年1月に緑酒伝助をオープン。地元はもちろん、全国から旬食材を買い付け、素材を生かしたオリジナルな日本料理を提供。料理は小ポーションのおまかせで画期的なストップ制。無理なくお腹の具合でいただけるのがうれしい。王道和食の合間に供される創作料理「香箱蟹のクリームコロッケ」。たっぷりの香箱ガニを和え、崩れるギリギリを狙ったベシャメルソースをからりと揚げた口福の味。

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「香箱蟹のクリームコロッケ」はトロトロの食感と衣のサクサク感のコントラストが魅力。食事はすべておまかせコース¥10,000〜から。
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「かますと冷やし茄子のウニのせ」は、輪島塗の盆とクリスタルのコンビネーションで。店主は石川・能登町出身で実家に眠る輪島塗ほか、古九谷や作家ものなどうつわへのこだわりも魅力。
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繊細な火入れで低温調理した本州鹿の薄造り、天然舞茸添え。有機栽培のワラで燻し、能登の塩で。うつわは九谷の角福。ワインは「ルイ ジャド モレサン ドニ」(ボトルのみ)ほかクラシック系をラインナップ。通常のグラス提供のワインは¥1,400〜
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凛とした欅の一枚板のカウンター。個室も設けており、隠れ家のような雰囲気が好まれて、東京の芸能や音楽関係者も訪れるそう。
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ひがし茶屋街に比べ落ち着いた雰囲気のにし茶屋街近くの、金澤町家を改修した一軒家。
緑酒伝助|Ryokushu Densuke
石川県金沢市白菊町8-17
076-287-6187
営)18:00~22:30
休)水
要予約
Instagram

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主役は繊細で丸みのある出汁。

マル ニ|Maru Ni

北陸ミシュラン2ツ星獲得の懐石料理の名店で12年間、煮方として研鑽を積み、京都や北海道でも修業した二瓶健治の店。なんとメインは出汁! 挨拶代わりに最初に提供されるのは、枕崎の鰹節と利尻の昆布でとった一番出汁。遊び心のある割烹スタイルで、料理のレパートリーは30品ほど。バイ貝の肝がけ、ノド黒の飯蒸しなど地元食材を生かした一品は、どれも日本酒が進むこと受け合い。「香箱蟹のおじや」は福島・会津出身の店主の実家で収穫した米を、香箱ガニのガラと上品な出汁で炊いた一品。出来立てデザートの大福を頬張れば誰もが笑顔になる。

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「香箱蟹のおじや」(¥2,200)は〆にもぴったり。
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お通しで出される一番出汁は上出長右衛門窯の湯呑で。出汁をとった鰹節と昆布も余さず、お酒のアテに。日本酒(1合¥1,200〜)は地元以外に福島や全国からセレクト。
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のど黒の飯蒸し(左、¥3,300)とバイ貝の肝がけ(右、¥1,100)。少量多種でいただけるのがうれしい。
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目の前で仕上げられた大福(¥770)を手渡しで。イチゴのほか、季節のフルーツ入り。
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スタートアップ的な店が集まる複合施設、とおりゃんせの2階。カウンターのみで7席。基本はアラカルトとコースで提供。

マル ニ|Maru Ni
石川県金沢市片町2-23-6  とおりゃんせ2F
090-6397-4114
営)18:00~
不定休
Instagram

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石川・金沢の旬食材を香り豊かな本格中国料理で

中國菜 西華房|Chugokusai SAIKABOH

中国料理店が少ない金沢、街なかの柿木畠で四川料理とシェリーのペアリングで人気を博した中國菜 西華房。2024年3月に店舗とメニューを拡大し、金沢駅から車で15分ほどの場所に移転リニューアル。この道20年の店主、浦山隼人は新たに地物×旬×中国料理を掲げ、本格的な中国料理を親しみやすい雰囲気で提供する。自ら本場中国で調達した香辛料を使った、香り高い味わいが特徴。マストはスペシャリテの「四川麻婆豆腐」と「クリームチーズ海老マヨ」。この時期は季節限定の「香箱蟹あんかけ炒飯」を目当てに来店する人も多いという。

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「香箱蟹あんかけ炒飯」(¥2,420)はパラパラの炒飯に、一杯のカニを丸ごと使用し、ショウガを効かせた塩味のあんをたっぷり添えた贅沢な一品。
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女性に人気の「クリームチーズ海老マヨ」(¥1,430)プリプリの大海老に濃厚なクリームチーズの味わいが絡んで。
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定番の「四川麻婆豆腐」(¥1,100~)に、この時期はタラの白子入り「白子麻婆豆腐」(¥2,200)も登場。花椒のさわやかな辛味とねっとりした白子の組み合わせが美味。
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シェリー酒とのペアリングも可能。極辛口の「マンサニージャ」、まろやかな「アモンティリヤード」など10種ほどをグラス(¥660~)でいただける。
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32席という広々とした空間。場所柄車での来店も多く、駐車場も15台分完備。

中國菜 西華房|Chugokusai SAIKABOH
石川県金沢市もりの里2-222
076-255-0788
営)11:30~14:00L.O. 17:30~21:00L.O. ※土祝は17:00~
休)日 ※不定休あり
Instagram

●撮影時は香箱ガニ解禁前のため、オオズワイガニなどを使用している場合があります。
●食材と価格は季節により異なります。

photography: Masato Shiga   editing:  Hiroko Koizumi

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